桜並木の小路

秋になると、どうも”秋めいている”のを感じるところへ

足が向きます。

この場所に住んで3年。なんとなく秋めく場所は頭に入ってきました。

 

家から10分ほど歩くと、街を見わたせる小高い丘があって

そこには、小学校が建っています。その小学校のグラウンドに向かう小路は

学校らしく桜の木が並んで植えてあって、

春は花、秋は紅葉と、季節ごとにとても気持ちの良い風景を見せてくれます。

 

今日、その小路を散歩していたら

風に吹かれて、あかく色づいた桜の葉っぱがたくさん舞ってきました。

あぁ、きれいだなあ…とその色合いの中で、ぼーっと立ち止まっていたら。

 

うしろから小学校2年生くらいの男の子がふたり

緑色のボールを蹴りながらやってきました。

 

彼らは順番にひとつのボールを蹴りながらお喋りをしていました。

「知ってる。好きな子って、こむぎちゃんだろ?」

ポーン、ポン(ボールを蹴る音)

「えー、べつに」

ポーン、ポン

「だって言ってたじゃん、前に」

ポーン、ポン

「今はちがうよ、もう」

「えっ?じゃあ、だれだよ」

ポーン、ポン

ほほえましくて、横を通り過ぎていく彼らをみながら

ひとりにやにやしてしまいました。

 

今は彼らの眼にうつるのは、緑のボールだったり

友達だったり、好きな女の子だったりするのだろうけれど

でも、その”背景”には

この小路の風景がきっと焼き付いていて。

年をとって子供時代が思い出にかわるにつれて

その背景だった景色がしっかりと立ち上がってきて

彼らのこころを和ませてくれるんじゃないかと

思ったのでした。